この記事はフィクションです。ツギノテFICTIONが2126年の紙面という設定で書いており、登場する出来事・数値・団体はすべて架空のものです。

建物ごとに気候が異なることで生じる住民同士の行き違いを仲介する「季節相談員」が、各地で不足しています。

生活季節調整センターによりますと、有資格の相談員は全国でおよそ620人にとどまっています。

相談員は、建物の外皮が作る気候の違いをめぐる住民間の話し合いに立ち会い、衣替えや行事の時期をすり合わせる役目を担っています。

センターによりますと、相談件数はこの5年でおよそ2.3倍に増えました。

季節がずれるたびに、人手も足りなくなっていました。

先月開かれた養成講座では、定員に対しておよそ3倍の応募がありましたが、多くは書類選考の段階で不合格となっています。

選考にあたっているのは、建物の気候設定の知識に加え、当事者双方の言い分を公平に聞き取る面談の実技です。

書類選考の合格率はおよそ2割にとどまっており、資格の門戸を狭めすぎているという指摘も出ています。

センターの担当者は、こう話しています。

「相談は当事者どうしの感情が絡むため、知識だけでは務まりません。時間をかけて育てるしかない仕事です」

今回の講座を修了できなかった応募者の一人は、こう話していました。

「面談の練習で、自分がどちらの季節にも肩入れしてしまうことに気づきました。来年もう一度挑戦します」