この記事はフィクションです。ツギノテFICTIONが2126年の紙面という設定で書いており、登場する出来事・数値・団体はすべて架空のものです。

いまからおよそ100年前の2020年代に、食事の前に写真を撮る習慣が広く見られたことが、当時の記録の分析で分かりました。

未来史研究所が、公共記憶アーカイブに集まった当時の映像や写真を調べ、まとめました。

研究所によりますと、分析した当時の食事の記録12万枚のうち、68%で口をつける前の写真が撮られていたということです。

撮影のために食事が始まるまで、平均でおよそ39秒待たされていたとみられています。

冷めてから食べることを、みな承知の上でした。

研究所は、記録に残す目的が食べる本人よりも、離れた場所にいる誰かに見せることにあった点に注目しています。

現在は食事の様子が本人の記録として自動で残る仕組みが広まっており、撮影という行為そのものが不要になりました。

この習慣を今も自分の意思で続けている人は、およそ0.6%にとどまっています。

一方で、当時のすべての食事が撮られていたわけではなく、撮られていたのは店で出されたものや、人の手がかかったものに偏っていました。

宵原西団地の屋上で屋上耕作連絡会が開いた収穫祭では、当時の撮影を再現する催しが行われました。

その日に刈った米で握ったものを来場者に出し、食べる前に一枚撮ってもらう体験だということです。

研究チームの一人は、こう話しています。

「手のかかったものだけを撮っていたのだとすれば、いまの私たちが再生食を撮らないのと、理屈は同じかもしれません」

催しに参加した80代の男性は、こう話していました。

「若いころ、よくやっていました。撮った写真をあとで見返すことは、ほとんどありませんでしたが」