この記事はフィクションです。ツギノテFICTIONが2126年の紙面という設定で書いており、登場する出来事・数値・団体はすべて架空のものです。

月面12拠点の標準時統一が2127年に始まるのを前に、共同食堂の時計を合わせる予行演習が晴海環状市で始まりました。

国際時刻調整会議によりますと、演習に加わったのは12拠点のうち5拠点にとどまり、残る7拠点は様子見の姿勢を崩していないということです。

演習では、食堂の壁掛け時計の隣に「試験共通時刻」の表示板が新たに設置され、住民は食事の合図をどちらの時刻で受け取るか選べる仕組みになっています。

「まだ、選べる」というのが、この演習でいちばん強調されている点です。

演習期間は60日間の予定で、2127年の本格運用までに集まる記録を、基準づくりの材料にする狙いがあるとしています。

ただし不参加の7拠点のうち4拠点は、演習の基準に選ばれること自体が、最終的にどの拠点を月の0時とするかの交渉で有利に働くことを懸念していると説明しています。

参加拠点でも、食事の合図が試験共通時刻と現地時刻とで最大7分ずれる日があり、配膳の順番をめぐって小さな行き違いが起きているということです。

それでも、演習をやめたいという声はいまのところ出ていません。

晴海環状市の食堂職員はこう話しています。

「時計が二つあると、結局みんな自分の時計を見てしまいます」