この記事はフィクションです。ツギノテFICTIONが2126年の紙面という設定で書いており、登場する出来事・数値・団体はすべて架空のものです。
軌道再突入調整会議は、制御された再突入で回収した人工衛星の破片について、持ち主を確認できたのはおよそ4割にとどまると明らかにしました。
落下地点と時刻をあらかじめ公表したうえで大気圏へ落とす運用が広がったことで、破片そのものの回収は進んだものの、今度は所有の記録のほうが追いつかなくなっています。
同会議によりますと、破片はいったん「軌道再突入記録庫」へ運ばれ、設計図や登録簿と照合して持ち主を特定する手続きを経るということです。
保管されている破片は累計3400点に達し、残る多くは手続きの途中にあるか、持ち主が確認できないまま足踏みしているということです。
原因は、衛星を運用していた企業の合併や解散が数十年にわたって重なり、登録簿そのものが別の名義へ何度も書き換えられてきたことにあるとしています。
古い型番ほど、台帳の行き先がたどれなくなっています。
確認できないまま90日の申立て期間を過ぎた破片は、ことしまでに1200点が「無主物」として記録庫の常設展示に回されました。
記録庫で分類作業にあたる職員はこう話しています。
「見分けの手がかりは模様より錆び方です。大気圏の近くをどれだけの年数回っていたかで、合金の色の沈み方が変わります」
一方で、無主物に分類された破片を自国の技術史として引き取りたいという申し出が各国から相次いでおり、常設展示に回す前にもう一段階、猶予期間を設けるべきだという意見も出ています。
破片の引き取りを希望する、ある国の宇宙機関の担当者はこう話しています。
「国の名前より先に、自分たちが忘れていた打ち上げの記録を思い出させてくれました」



