この記事はフィクションです。ツギノテFICTIONが2126年の紙面という設定で書いており、登場する出来事・数値・団体はすべて架空のものです。
全国習い直し所連合は、新しい決まりを教える習い直し所の講師について、6割が19歳以下になったとする調べを発表しました。
習い直し所は、暮らしの決まりが10年ごとに作り直されるたびに、大人が新しい決まりを教わり直す場です。
最初に新しい決まりを学ぶのは学校の子どもたちで、いちばん新しい常識を持っているのは、いつもいちばん若い人になります。
このため、窓口での名乗り方や列の並び方といった細かな決まりを、10代の講師が70代、80代の受講者に教える教室が、各地で増えています。
連合によりますと、直近の作り直しの2120年から6年がたっても、70歳以上の受講者のうち全課程を修了した人は、およそ5割にとどまっています。
年下に教わること自体は、あまり問題になっていません。
つまずくのは、その人を何と呼ぶかです。
受講をやめた人にたずねた理由のなかで、もっとも多かったのは「先生と呼ぶのが難しかった」というものでした。
このため連合は、4年後の2130年の作り直しを前に、講師を「先に覚えた人」と呼ぶ試験を、12か所の教室で始めました。
一方、講師を務める10代からは、呼び名が変わっても教える内容と時間は変わらないとして、準備の負担も見直してほしいという声が出ています。
連合の担当者は、こう話しています。
「呼び方を変えれば来てもらえるとは思っていません。ただ、来なくなった理由が呼び方だったことは、重く受け止めています」
講師を務める17歳の女性は、こう話していました。
「先生と呼ばれるより、さっき覚えたばかりのことを先に言う係、くらいのほうが、私には合っています」



