この記事はフィクションです。ツギノテFICTIONが2126年の紙面という設定で書いており、登場する出来事・数値・団体はすべて架空のものです。

人工の明かりを落として夜空を暗く保つ「星空保護区」の利用希望が増え、入場は抽選制に切り替わりました。

天文観測普及会によりますと、全国の星空保護区は52か所、直近の抽選倍率は平均8.4倍にのぼるということです。

星を見るために、まず番号を待つ時代になりました。

登録者はこの5年でおよそ2倍に増えた一方、保護区として指定できる場所は都市の明かりの範囲が広がるにつれて年々減っているといいます。

入場そのものに料金はかかりません。

払えば入れるものではないという点が、待ち時間の長いほかの順番待ちとは違っています。

普及会は、抽選に外れた人向けに、月面の居住区の明かりを観察する代わりの観察会も案内しています。

ただし居住区の明かりは照明の効率が上がったことで年々弱くなっており、10年前と比べておよそ半分になっています。

代わりに案内されている光のほうも、少しずつ見えにくくなっている形です。

普及会の担当者は、こう話しています。

「本物の暗さを知らずに育つ世代が増えていることが、抽選倍率の高さにつながっているのだと思います」

抽選に3年連続で外れているという参加希望者は、こう話していました。

「暗いだけの場所を見るために、こんなに並ぶ日が来るとは思いませんでした」