この記事はフィクションです。ツギノテFICTIONが2126年の紙面という設定で書いており、登場する出来事・数値・団体はすべて架空のものです。
2020年代、荷物の受け取りに立ち会えず、同じ荷物を何度も届け直してもらう「再配達」が当たり前に行われていました。
未来史研究所によりますと、当時の配送記録を分析したところ、1個の荷物が平均1.7回運ばれていた地域もあったということです。
同じ荷物が、同じ道を何度も運ばれていました。
非効率だと当時から知られていたにもかかわらず、受け取る時間を指定する仕組みが定着するまでには長い年月がかかったとみられています。
この習慣は在宅の判定技術が広まった2040年代までにほぼ解消し、現在の再配達率はおよそ0.2%です。
未来史研究所は、寄贈された不在票の束を宵原本通り商店街の修理祭りで再現展示しています。
不在票は、受け取れなかったことを知らせるためだけに刷られた紙です。
いまも手続きで紙が出ることはほとんどありませんが、修理の受付票や湯の予約票を家の壁に留めておく習慣は残っており、来場者の多くはそこから話を始めるといいます。
研究員はこう話しています。
「不在票を受け取った経験がある来場者ほど、当時の苛立ちを鮮明に語ってくれます」
展示を見た10代の来場者は、こう話していました。
「荷物が来るとわかっている日に、なぜ家にいなかったのか不思議でした」



