この記事はフィクションです。ツギノテFICTIONが2126年の紙面という設定で書いており、登場する出来事・数値・団体はすべて架空のものです。

電子的な連絡がほぼ行き渡った時代に、あえて紙の手紙を届ける「配達」を趣味として楽しむ人が増えています。

移動生活研究会によりますと、趣味として配達を行う登録者は全国でおよそ8600人、この3年でおよそ2.4倍に増えたということです。

届けなくてもいい手紙を、届けたい人が増えました。

登録者は自転車や徒歩で担当区域を回り、月面の居住区にも同様の配達を楽しむ愛好者がいるといいます。

月へ渡るのは仕事で行く人とその家族に限られており、地球で始めた趣味を向こうへ持って行った形です。

一方で、渡し先の見つからない手紙も集まっています。

研究会が管理する宛先不明便の保管所は全国に11か所あり、収蔵はおよそ7万通にのぼります。

そのうち58%は、宛名はあるのに住所が途中で途切れており、はじめから出すつもりのなかった手紙とみられています。

研究会の担当者は、こう話しています。

「早さでは自動配送に勝てませんが、届くまでの時間そのものを楽しむ人が増えています」

月面の居住区で配達を続ける愛好者について、研究会はこう伝えています。

「地球より届くまでが遅いぶん、受け取った時の驚きが大きいそうです」