この記事はフィクションです。ツギノテFICTIONが2126年の紙面という設定で書いており、登場する出来事・数値・団体はすべて架空のものです。

長年連れ添ったペット型ロボットの人格データを、新しい本体に移す「代替わり」を巡り、相続の実務が追いついていません。

伴侶ロボット継承調停センターによりますと、代替わりに伴う相談件数はこの3年でおよそ3.1倍に増え、年間およそ2200件にのぼるということです。

本体は新しくなっても、覚えていることは引き継がれました。

相談の多くは、家族の誰が人格データを引き継ぐ権利を持つかを巡るもので、明確な法律はまだ整っていません。

センターは当面、話し合いによる調停を基本方針としていますが、判断が難しい事例も増えているといいます。

寿命が延び、代替わりが一人の生涯に何度も訪れるようになったことも背景にあります。

記録を預け始める日、名前を変える日、記録を見ないと決める日と並んで、代替わりを人生の区切りとして数える人が出てきました。

いずれも、いつ行うかを本人が決める手続きです。

センターの担当者は、こう話しています。

「本体は物ですが、覚えている記憶は物として扱っていいのか、線引きに悩む相談が増えています」

親から譲り受けたロボットを持つ利用者は、こう話していました。

「新しい体になっても、名前を呼ぶと同じ反応をしてくれるのが救いです」