この記事はフィクションです。ツギノテFICTIONが2126年の紙面という設定で書いており、登場する出来事・数値・団体はすべて架空のものです。
集合住宅の屋上や外壁に組み込まれた外皮が生み出す電気を、棟をまたいで融通し合う「共用蓄電盤」をめぐり、棟ごとの発電量の差についての相談が増えています。
都市外皮共同修繕所によりますと、この種の相談はこの3年でおよそ3倍に増えたということです。盤を備える集合住宅は都内でおよそ6200棟にのぼります。
外皮は建物ごとに温度や湿度だけでなく採光の取り方も個別に設定できるため、住民の好みがそのまま発電量の差になって表れます。
日当たりのいい棟が、電気のほうでも得をしている。
ある団地では、発電量の多い棟が蓄電盤全体のおよそ6割を賄い、少ない棟は使うばかりになっているといいます。
特に込み合うのは残暑期です。冷房の稼働が増え、発電が追いつかない棟から優先融通の申し込みが集中します。
優先的に融通を受けられる枠を申し込むと月24生活点(円換算でおよそ1900円)かかりますが、希望者は用意された枠をいつも上回っています。
使う量の多い棟の住民からは外皮の設定を揃えてほしいという声も出ていますが、設定は屋上の作期にも関わるため、簡単には変えられません。
修繕所は、盤に残る出し入れの記録を公開する案も検討していますが、個々の家庭の生活時間が見えてしまうとして慎重な声もあります。
修繕所の担当者はこう話しています。
「電気は見えないので、誰がどれだけ出しているか、なかなか実感してもらえません。盤を開けて、ためた量を見てもらうしかないんです」



