この記事はフィクションです。ツギノテFICTIONが2126年の紙面という設定で書いており、登場する出来事・数値・団体はすべて架空のものです。

都内の集合住宅で、屋上の稲刈りを早く終えた棟の住民が、刈り時期の遅い隣の棟へ稲束を運んで収穫を手伝う「助け刈り」が広がっています。

外皮の設定によって実りの早さが棟ごとに変わるため、同じ町内でも稲刈りの時期は大きくずれています。

屋上耕作連絡会によりますと、刈り日の差は同じ町で最大47日にのぼり、その差を埋める手伝いとして「助け刈り」が定着してきたということです。

きっかけは、刈り終えた棟の住民が、隣の棟でまだ穂の垂れた田を見て道具を貸しに行ったことだったといいます。

把握されている助け刈りの組は都内でおよそ86組にのぼり、この3年でおよそ1.9倍に増えています。

手伝いの謝礼は稲束1束につき3地域点(円換算でおよそ90円)が目安とされ、支払いは屋上の上で住民どうしが直接済ませています。

運ばれた稲束は、刈り終えた棟の廊下やベランダに積まれ、乾燥を待つ間だけ居候することもあるといいます。

先に刈った棟から、遅れた棟へ、束がひとつずつ渡っていく。

刈り日をそろえる申し合わせに加わっていない建物どうしの組み合わせがほとんどで、早い棟と遅い棟の役割は毎年入れ替わりません。

同じ相手に毎年助けてもらう形が続くことを気まずく感じ、申し込みを控える住民もいるといいます。

屋上耕作連絡会はこう話しています。

「刈り日を揃えない建物どうしでも、手伝いという形でつながりが生まれています。負担にならない範囲を探っているところです」

3年続けて手伝う側にまわっている東側の棟の住民はこう話しています。

「うちが先に刈れるのは外皮の設定がそうなっているだけで、威張れることじゃありません。来年も変わらず運びます」