この記事はフィクションです。ツギノテFICTIONが2126年の紙面という設定で書いており、登場する出来事・数値・団体はすべて架空のものです。

外畑直送組合は、建物の外の畑で育った野菜を食べたことがない小学生が、宵原で3割を超えるとする調査結果を発表しました。

外の畑とは、建物の外皮の内側ではなく、屋外の天気のなかで育てる畑のことです。

建物の中で育てる野菜は形がそろい、値段も安定しているため、家庭でも給食でも主役になって久しく、外の畑の野菜は朝市に年に数回並ぶだけの品になっています。

組合によりますと、外の畑の野菜の値段は建物の中で育てたもののおよそ4倍で、量も天気しだいで読めないということです。

このため組合は、静音貨物飛行船が朝市へ届ける年4回の便の積み荷の一部を給食に回す試験を、来月から始めます。

いちばん驚かれるのは、葉に空いた小さな穴です。

建物の中の野菜には虫が入らないため、穴のあいた葉を初めて見る子どもが少なくなく、試食の場で先に誰かが食べたのかと尋ねる例が出ています。

一方、建物の中で野菜を育てる生産者の団体は、外の畑の野菜は量が読めず、献立が組めない日が出ると指摘しています。

このため組合は、足りない日は建物の中の野菜に切り替える決まりを残し、給食に入れるのは便の届いた日だけにするとしています。

組合の担当者はこう話しています。

「外の野菜を勧めたいのではありません。選べる子と、選べない子がいる状態を、先にならしておきたいのです」

試食に立ち会った給食の調理員は、こう話していました。

「穴のあいた葉を見て『先に食べた人は誰ですか』と聞かれたので、虫ですと答えました。しばらく黙っていましたが、皿は空になりました」