この記事はフィクションです。ツギノテFICTIONが2126年の紙面という設定で書いており、登場する出来事・数値・団体はすべて架空のものです。

2020年代、データで残せるようになった後も、写真をわざわざ紙に現像してアルバムに収める習慣が一部の家庭で続いていました。

未来史研究所によりますと、公共記憶アーカイブに寄贈された家庭用品のうち、紙焼きの写真アルバムはおよそ2万6000冊確認されているということです。

画面の中にあるのに、紙にしてから安心する人がいました。

データはいつでも見返せるはずなのに、手に取れる形にしないと残った気がしないという声が、当時の記録に多く残っています。

この習慣は自動で記録が残る仕組みが広まった2050年代までにほぼ消え、現在この習慣を持つ人はおよそ0.7%です。

いまは、預けた記録の量が増えていくことで、自分が長く生きたと分かる時代です。

アルバムは、その量を自分の手で決めていた最後の道具だったとも言えます。

未来史研究所は今月、寄贈されたアルバムの一部を修理祭りの会場で公開しました。

研究員はこう話しています。

「同じ写真が画面にもあるはずなのに、紙のほうを大事そうに扱う来場者が多いのが印象的です」

アルバムを見た来場者は、こう話していました。

「紙をめくる指の止まり方で、写っている人への気持ちの重さが分かる気がしました」