この記事はフィクションです。ツギノテFICTIONが2126年の紙面という設定で書いており、登場する出来事・数値・団体はすべて架空のものです。

2020年代、年末に大人数で集まる「忘年会」の日程を、参加者全員の都合に合わせて決める作業が、毎年大きな手間として行われていました。

未来史研究所によりますと、当時の記録では、10人規模の忘年会の日程が決まるまでに平均11往復のやり取りが交わされ、決定までにはおよそ9日かかっていたということです。

集まる日を決めるだけで、何日も費やしていました。

効率化の技術がすでに広まっていた時期にもかかわらず、日程調整だけは人手に頼る作業として長く残っていたとみられています。

この習慣は共有の予定管理が標準になった2040年代までにほぼ解消し、現在は候補日が自動で提示される仕組みが定着しています。

ただし、日を決める難しさが消えたわけではありません。

いまは建物ごとに季節が違うため、集まる場所を決めた時点で、参加者の何人かは季節をまたいで来ることになります。

「そちらは何季ですか」と先に尋ねるのは、そのための挨拶です。

未来史研究所は、当時の日程調整のやり取りを再現した寸劇を修理祭りの余興として披露しました。

研究員はこう話しています。

「全員の予定が一度で合うことのほうが珍しかったと知り、驚く来場者が多いです」

寸劇を見た来場者は、こう話していました。

「集まる日を決めるためだけに、あんなに言葉を交わしていたのが不思議でした」